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今年も似顔絵屋。

nigaoe2もう何年も、何人も、人の顔を描いている。
何年もといえば、かなり長いように思われるが、
実は、ものそい長い。18歳の頃からなので果てしなく長い。
いや、実際は教室で小4から描いているので、皿に、盆に長い。

何人もと描くと、かなり多いように思われがちだが、
実は、ものそい人数になることに気がついた。
描いた枚数で言えば、一番多いときで毎週末30枚くらいを
10年間くらい続けていたときがあるし、
今もまだ描き続けているので、合計するとたぶんもう、
ゆうに数千人は超えているに相違ない。
なんということでしょう。
スタンダードに色紙に筆で描いて水彩で着色する。
約12〜13分、ご辛抱いただくのであるが。

この仕事は、ぜ〜んっぜん知らない人をわずかな時間で描ききらなければ
ならないというスリル(しかも似ていなければならない)と、
たぶん、もう会うこともない一期一会という、
かなり感傷的な部分との融合が、ほどよくいい。
また、基本的にイベントなどで描くので、
たくさんの人が(そのイベントに)訪れる。
家族連れや、カップルなどが大半を占めるが、そうではない人もいる。

亡くなった主人の顔を描いてと、写真を持ってくるひと、
異国にいる、娘に送ってやりたいのでと、座る初老の紳士、
生まれたての寝ている赤子を、笑っている顔にしてと無理難題をいうおかあさん、
何も言わずに目の前に座り、自分の顔を指差し描いてと、ジェスチャーをする白人、
ケータイの中で微笑む孫を描いてというばあちゃん、
どう見ても、そのスジとわかる方、
いま、連れてるこの犬を描いてとせまるマダム、
ほんとに様々なひと、動物を描いているのだと実感、痛感。

もうずいぶん昔だが、こんなことがあった。
初夏、兵庫県西宮市のとある、まちおこしイベントで描いていて
夕闇も迫りくる、そろそろあがろうかというときである。

「お願いしまーす」と、一人の美女がすっと座った。
ま、まだひとりくらい大丈夫だ。
「いらっしゃい」と、描き始める。
黙っていると緊張感に支配されるので
必ず、お客さんと喋ることにしている。これはこの商いの心得だ。
喋るといっても、別にいきなり小話をして笑わせたり、
落語をして笑わせたりはしない。笑わせんと損か!(笑)

どこから来たのか、お仕事はなにとか、お客さんから
少し情報を引き出し、そこからいろんな話に発展させるのだが、
若い女子になると、なかなかさじ加減が難しい。
あまり根ホリ葉ホリきくのもあれだし、かといって事務的に進めるのも
返って違和感がある、第一疲れる。
この人、歳の頃なら20前後の目の覚めるような美女である。
そんな、寝てる人も起きてしまうような美女を前にして、
何を話せばいいのか、え〜いじれったい、って見合いかっ!

会話も弾み10分くらいで描きあげ、「どうぞ」と渡す。
自分的には、かなり可愛く似せて描きあげたつもりだが、どうだろうと
思っていると、「ありがとうございますっ!」と
満面笑みで、料金を支払いタッタッタッと、薄暗くなった会場の闇に消えていった。
あ、喜んでくれた、よかったよかった、さて、
あがろと片付け始めていると、先ほどの娘さんが、
大量の娘さん(しかも概ねかなり美しい)を連れて戻ってきた。
「あの、すみません彼女たち全員を描いて欲しいんですけど」
「え?」
いやいやいや、彼女たち全員て、7〜8人居ますやん。
こっちは、もう終わる時間なんだけどさ。。
思案していると、一人の芸人風の男が、話しかけてきた。

よく話をきくとその男はタレント(名前忘れた)で、
今回のイベントの司会者であり、
彼女たちは全員宝塚音楽学校の生徒さんたちで
きょう、ここのイベントに参加していたらしい。
たまたま、一人が似顔絵屋を見つけ、描いてもらったところ
あまりの可愛い出来♡(本人談)に、これはぜひみんなも描いてもらいなさい、と
それで、大挙して押し寄せて来たらしい。
そうか宝塚か、どうりで。
事情はわかったので実行委員会へ話を通して、せっかくなので
描かせてもらうことにした。
似顔絵屋は、時ならぬ黒山の人だかりである。
そりゃそうだ、うす暗いなかここだけ煌煌と明かりが灯り、
若いフレッシュな娘さんたちが口々に
「似てるぅ〜♡」「かわいいぃ〜♡」と群れをなしているのだ。
人も虫も寄ってくるだろう。
描き終わる頃には、もう真っ暗。
しかも全員に喜んでもらい、あー、良かった良かった。

もーおじさんは、疲れました。
帰ろうとしていると、これから打ち上げをするので、
よかったらどうですかと、先ほどの司会者に誘われた。
ここで断るなら男を辞めたほうがマシである。(ってそんなノリではないだろう)
お腹も減っているので、お邪魔することにした(あっさり)。
雰囲気のいい、近くのラウンジへ。
相当な場違い者ではあるが、美女に囲まれ、「先生」と呼ばれて、有頂天になり、
ノセられて店のママさんの顔も描いてしまった、チャンチャンという
清々しい記憶がある。

そんな、似顔絵屋さんが、来たる5月7日(土)、
神戸湊川公園で開催される「第11回新開地音楽祭」の「アート市」で今年も
似顔絵描きまーす。

売り上げの一部は東日本大震災への義援金とさせていただきます。
お時間が合いましたらぜひどうぞ。
ライブ中心の楽しいイベントです。

コメント

  1. とても楽しそうなイベントですね。

    ふわーりと
    初夏の風に誘われて出かけたくなります。

    清々しいお天気だといいね。

    投稿者:明花

    リンク | 5月 5th, 2011 at 5:59 PM

  2. ありがとう!
    なんとか、雨はなさそうだね、明日は。
    がんばって描いてきまーす。

    投稿者:はっしゃん

    リンク | 5月 6th, 2011 at 7:21 PM